Gruene Woche 2011 家畜とショーイベント編 2011年3月1日2016年1月30日 ~ Kyoko Alscher さて、今回は世界最大の農業メッセ「Grüne Woche」報告の続き。 前回の報告「会場編」はこちらから→ ( ̄□ ̄;) 広いメッセ会場の一部には動物展示用のホールがある。 ここで毎年ドッグショーが行われたり、またGrüne Wocheでも家畜の展示と、そしてイベントのためのアリーナが設置され、私達の行ったこの日、そこでは牛の品評会と馬のイベントが催されていた。 繁殖組合の展示は無角ヘレフォード種牡。 WARGOL君、1420kgとな。 その隣には取り巻きの乳牛達。 特設牛舎は現場と同じ作りが再現されている。 Grüne Wocheはそもそも農業メッセだが、農業関係者達だけが対象なのではなく、一般消費者への農業の啓蒙活動としても大事な場である。 牛・豚・馬・羊・ロバ・家禽などあらゆる家畜が会場内に現場と同様に再現された畜舎で展示され、来場者がこれらの動物を直接目にすることでまさにメッセは「from stable to table(畜舎から食卓まで)」を啓蒙している。 乳牛はもちろん朝晩会場で乳も搾られ、それぞれの動物の説明などは専門繁殖家達が対応をしている。(そもそも展示してあるブース自体が繁殖協会などのものだし) しかもこれらの動物は「メッセのための展示」としてそこにいるわけだから、展示中の動物達が虐待されたり負担がかからないよう、ウェルフェアの面も動物保護団体によってチェックされ、後日厳しい評価とともに公表されるのである。 さて、となりのホールの特設アリーナではドイツ産のUckermärkerというマイナー品種の品評会が催されていた。 Uckermärkerはフレックフィーとシャロレーを掛け合わせて作られた、ブランデンブルグ州とメックレンブルグ-フォアポメルン州で飼われている肉牛品種。 小振りだけれど、性格がよく環境変化への適応能力も高い上、出荷時の肉比率が高いと評判の品種だ。 デモンストレーションなんかじゃなくて、本当の品評会。 活気があっていい! 冬毛を刈られたハーフリンガー馬(チロル産のポニー)のお尻にハートが刈り残されていた。 愛嬌だね。(啓蒙だからね) またもや乳絞りダミーに引っかかる子供達。 昼寝中のSattelschwein子豚。(これもドイツ産、英語ではサドルバックとも呼ばれる) Bio飼育では足元は藁、そして断尾もしないのよ。 ※ 大型養豚場で豚の断尾をするのは狭い環境での飼育ストレスから来る「尾齧り」を防ぐためのただの対症療法、生後3日以内に麻酔なしで切り取られる。しかし、飼育環境を自然なものに変え、ストレスの原因を取り除くことで不必要な断尾は回避される。 家畜から採れるウールの数々、手前からロバ(!)、アルパカ、ラマ、羊。 原毛を洗って、紡ぐと毛糸が出来る。 昔ながらの手紡ぎの実演、子供達もそれぞれ自分たちで体験。 さてさて、再びアリーナに戻ると今度は馬のショーが始まっていた。 ハンガリーの騎馬隊による歴史劇。 アイスランド・ホースのデモンストレーション。 アイスランド・ホースは馬の中でもTöltと呼ばれる独特の特別な歩行をする珍しい品種、写真のように片側の前後両足が同時に出る。 そのせいか、乗り心地は極めて滑らか、まるでトイレに座っているかのようだ。 が、これはこれでけっこうなスピードが出る。 ウェスタン・ライディングのデモンストレーション。 続いて、この日最後のプログラムはトライアルレース。 重量級の冷血種がワゴンを引いてコースを走り、タイムを競う。 目の前を通り過ぎてゆく時に伝わる振動も楽しい。 見えるだろうか?ワゴンの両脇においてある赤いパイロン、その2つのパイロンの間を馬はワゴンを引いてゆかなければ減点となる。 ロバは走る!というより、結構好き勝手なテンポでトロトロ。 やっぱり、ロバだ。 トリはたてがみのゴージャスなSchwarzwälder種の引く時代物。 アリーナの横で待機中だったSchwarzwälder種、前見えますか? 瞬く間に時間が過ぎて行った。 とまあ、メッセイベントのほんの一部を紹介したまでに過ぎないが、やはり「さすが農業大国ドイツ」と言わざるを得ない、そんな農業メッセだ。 こんなのが毎年1月後半に10日ほど開催される。 ※ ちなみにドイツの肉製品自給率は100%を超える、肉製品の輸出国でもある。 今年は41万5千人の入場者でにぎわったこのメッセ、多くの人がこうして間近に動物を感じることが出来るのを見ていると、この国がどうして動物保護や自然保護に熱心なのか、そんなの当たり前のような気がする。 農業関係者、農業好き、動物好き、そして食に関心のある方はぜひ一度足を運んでいただきたい。 きっと、何かしらの感銘を受けるはず。 それがこのメッセの狙い、「啓蒙」なのである。 食を大切にするならば、その足元も大切にするべし。 Werbung
Gruene Woche 2011 会場編 2011年2月12日2016年1月30日 ~ Kyoko Alscher 世界最大のアグリカルチャーメッセ「Grüne Woche」が今年もベルリンの国際メッセ会場(ICC)で開催された。 毎年ながら会場全てを使い、農業から食品、ガーデニング&エコまで、とにかく土と動物と自然に関係のあるものなら何でも出展されているといってもいいメッセである。 なにしろ会場が広いから、たった一日では回りきれない。 今年もだいたいの目星をつけて、お目当てのブース目指して会場内を突っ走った。 が、今年は友人獣医師とそれぞれの子供を連れて行ったものだから、突っ走った方向は必ずしも目的方向を向いているというわけではなく、かれこれ4時間ほど彷徨ったあげくにようやく目的地に辿り着くことが出来た、というわけ。 まあ、気持ちだけ突っ走ったつもりで。 以下に会場内放浪の軌跡を綴っておこう。 南ドイツ・シュヴァルツヴァルドのブースには民族衣装のボンボン付き帽子が。 ドイツビール協会のブース。 全部銘柄の違うご当地ビールが並ぶ。 インド系食品のコーナー。 昼食時にあたったせいか、やたらと混み合っていた。 スザンネの希望によりベトナム料理のブースで私達も昼食をとった。 トルコの焼き菓子。 美味いけど、甘い! 今年の入場者数は41万5千人を数えたこのメッセ。 いろいろな国のいろいろな食品メーカーが今年も所狭しと並んでいたが、今年ばかりはなぜか日本の食品メーカーは出展がない。 こんな大事な商談の場である国際メッセを逃すなんて、いったいどうしたことだ? すくなくとも数年前には日清やヤクルト、アサヒビールに紀文と複数のメーカーがならび、それぞれドイツ国内での市場をしっかり確保するという好成績を挙げていたはずなのに。 昨年はそれでもどこかの緑茶メーカーがプレゼンしていた。 んで、今年は? がんばれ日本。 さて、インターナショナル食品の部でしっかりと腹ごしらえをすませた後は、Bioマーケットの部へ。 GEPAのカカオとコーヒー、Bio&フェアトレード。 カカオもコーヒーも、産地では労働者がとにかく酷使されているのが問題。 産地では年端の行かぬ子供までが収穫に関わり、収穫物は経済国に安く買い叩かれている現状だ。 折しもバレンタインデーとかで、チョコレート業界は掻き入れ時なのだろうけど、だからせめて「フェアトレード」で労働に見合った正当な報酬を彼らが得られるよう、経済国の消費者として気に留めていたい。 どんなに美味しいチョコレートやコーヒーでも、生産者が買い叩かれているかと思うとどうもね。 同じくBioでフェアなコーヒーを提供するRegenwaldkaffeeのコーヒーを頼んでにっこりの友人スザンネ。 私もBioでフェアなLatte Macchiatoを飲みながら、途中でハチミツ屋に引っかかって試食のあげく2瓶購入、その後農業省のBioブースに引っかかり...子供たちは子供たちで牛の模型に引きつけられていたり。 それでもゆっくり見ている時間もなく、ただ来年に希望を託す私。 そんなこんなで、ようやく目的の体験農場のコーナーに突入〜!(ぜぃぜぃ orz) 左手に政府のリスク分析評価機関(BfR)のブース。 ちょうどダイオキシン汚染卵事件があったことから、消費者向けに「食品の安全基準についての一般知識クイズ」なるものを行っていた。 全問正解すると景品がもらえる。 スザンネはBfRネーム入り食器布巾(かなりベタな景品)、私はチビラの牛のイラスト付きランチボックス(これもBfRネーム入りのベタなヤツ)をゲット。 そのブースの前にある乳搾り体験用のゴム乳房で苦戦中のスザンネの息子トム。 農場のジオラマ。 実はリモコン操作でトラクターを動かし、土を耕すことができる。 大人ばかりが夢中になって遊んでいたぞ。 連邦臨床獣医師会のブースでチビラは吹き矢を初体験。 私はこの向かいにあったOIE(国際獣疫事務局)のブースで、今年全世界で展開する獣医大学発祥250年記念イベント「世界獣医年」の広報にあたっていた恩師に遭遇。 いやはや。 子供達に「世界獣医年」のロゴ入りTシャツとエコバッグをもらった。 かっこいいトラクター達、でかい。 もちろん試乗もできる。 この他、乳牛用の畜舎の展示(牛付き)や豚舎の展示(豚付き)などもあるのだけど、これは次回にまとめてお話しすることに。 ジャガイモの新旧品種コーナー。 ジャガイモのそれぞれの品種には「アレクサンドラ」とか「プリンセス」とか女性の名前がつけられているのが面白い。 んで狩猟協会のブース周辺には、 キツネの一行をはじめ、イノシシ家族も。 ここでも子供向けに「ハンタークイズ」を実施。 またもや全問正解で、どんどん景品が溜まってゆく私達。 ここの景品の中身は野山を歩く時の『自然ガイド」、獣の足跡とか習性とかいろいろ知識が載っている小冊子+バッジやらぬりえやら。 んでもって、小さなチーズ工房のチーズ販売。 ヒジョーに後ろ髪を引かれつつ、次へ。 つづき →「家畜とショーイベント編」